先日、夫と1歳11カ月の息子と一緒に「誕生70周年記念 ミッフィー展」を訪れました。
会場は横浜のそごう美術館。開店のしばらく前から1階入口前に並び、10時オープンと同時に6階の美術館へ上がりました。
今回ミッフィーの世界を詳しく知ったことに加え、作者のデザイナーとしての姿勢も学びになったため、その発見を書いてみます。
シンプルで、ミッフィー初心者にもやさしい展示
今回の展示では、入り口以外は写真撮影不可。そのぶん集中してじっくりと見ることができたので寧ろよかったです。
展示は絵本原画を中心に構成され、初めてでも流れを追いやすい内容でした。歴代の絵本原画がメインの傍ら、作者ブルーナのことを少しずつ知れるバランスがよかったです。
展示順はミッフィーの物語の流れに沿っていて(発刊順と物語の時系列は前後するようです)、ほどよいボリュームでした。
デザイナーとしてのブルーナ
ブルーナはもともとアーティスト志望で、家業の出版社を継ぎ、装丁デザインから絵本制作に進んだという経緯を知りました。その背景を知ると、彼の作品を「絵本作家」というより「デザイナーの仕事」として見る目が強くなります。
展示されていたペーパーバックの装丁デザインは、内容が一目で伝わることを意識していたそう。このデザイン達がとても自分好みでした。
なりたかったアーティスト感覚ではなく、デザイナーとしての仕事を全うしていたことに好感を持ちます。
ブルーナ・カラーの配色方法と例外
ブルーナ作品と言えば、6色に限定された「ブルーナ・カラー」。展示では、ポスターカラーで描かれた初期の作品から、セル画や切り紙を使った手法の解説まで、その変化と工夫を見ることができました。
中でも興味深かったのは「にんじん」の色。ブルーナカラーのオレンジとは別に、特別なオレンジを使っていたそうです。
ウサギが主人公であることを踏まえると、にんじんの色に特別な扱いをしたことにも納得がいきます。必要なときには例外を作る柔軟さに、デザインの本質を感じました。
子どものため、想像の余白を残す
ミッフィーの絵本は、シンプルな線と形でできています。それは「子どもの想像の余白を残すため」だそうです。
もとは装丁デザインをしているうちに本全体を手がけたくなったことから絵本作りを始めたそうですが、読み手である子どもたちのことを深く考えて取り組んでいたことがわかりました。
子ども連れでの鑑賞について
今回の展示は、子ども連れでも比較的安心して楽しめる雰囲気でした。迷惑をかけずに見れるか不安でしたが、館内が適度にざわついていたので気を遣わずに済みました。
息子は歩き回るのが楽しかったようで、展示室を探索するように見て回っていました。人は多かったもの動きにくいほどではなく、親も交代しながら一通りの鑑賞ができました。
展示の一部には子どもの背丈に合わせたパネルやちょっとした仕掛けがあり、小さな子でも退屈しにくい配慮を感じました。子ども連れが想定された展示設計という点で(かといって遊び場になりすぎず)、全体的によく考えられていたと思います。
作品の背景を知ると好きになる
自分自身が子どものころはあまり関心のなかったミッフィー。背景を知って、親として、新しく見えるようになりました。
シンプルなデザインの奥には死や入院といったテーマも描く誠実さがあり、子どもの世界を真剣に見つめるブルーナの視点が心に残りました。
まだ家にはミッフィーの絵本が1冊しかないので、折を見て集めていきたいなと思います。